ServBay ドキュメント:プロジェクト・スクリプト・ウェブサイトごとの特定Node.jsバージョン設定ガイド
ServBayは、Node.jsをはじめとした様々なプログラミング言語や技術スタックに対応した強力なローカルWeb開発環境です。開発現場では、プロジェクトごとや個別のスクリプト、あるいはウェブサイト単位で異なるバージョンのNode.jsが必要なケースが少なくありません。たとえば、レガシープロジェクトはNode.js 14を必要とし、新しいプロジェクトではNode.js 20の機能が使いたいといった場合です。ServBayは柔軟かつ簡単にこういったニーズに対応できます。
本記事では、ServBayでNode.jsスクリプトやウェブサイトの実行バージョン指定方法、そしてプロジェクト単位の詳細な設定運用方法を解説します。
.servbay.config ファイルでプロジェクトごとにNode.jsバージョンおよび環境設定を指定
Node.jsのバージョンや関連環境変数を厳密にコントロールしたいプロジェクトには、ServBayが用意する「プロジェクト単位の設定」がおすすめです。これは、プロジェクトのルートディレクトリに .servbay.config
ファイルを作成し、その中で利用Node.jsバージョンやパッケージ管理のリポジトリURL、キャッシュディレクトリなどを定義できます。こうした設定により、プロジェクト環境の分離性・一貫性をしっかり確保できます。
例えば、特定バージョンのNode.js設定およびnpm/yarnのリポジトリ・キャッシュディレクトリを指定する .servbay.config
ファイルは以下のようになります。
NODE_VERSION=20
YARN_CONFIG_REGISTRY=https://registry.npmmirror.com/ # 例:特定レジストリミラーを使用
NPM_CONFIG_REGISTRY=https://registry.npmmirror.com/ # 例:特定レジストリミラーを使用
NPM_CONFIG_CACHE=/Applications/ServBay/tmp/npm/cache # 例:キャッシュパスを指定
YARN_CONFIG_CACHE=/Applications/ServBay/tmp/yarn/cache # 例:キャッシュパスを指定
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解説:
NODE_VERSION
:このプロジェクトで利用するNode.jsのメジャーバージョンを指定します。ServBayはインストール済みバージョンから自動で合致するものを利用します。YARN_CONFIG_REGISTRY
,NPM_CONFIG_REGISTRY
:npmまたはyarnパッケージマネージャーのリポジトリアドレスを指定します。NPM_CONFIG_CACHE
,YARN_CONFIG_CACHE
:npmおよびyarnのキャッシュディレクトリを指定します。この例ではServBayのデフォルト一時ファイルディレクトリ/Applications/ServBay/tmp/
以下を利用。
.servbay.config
ファイルはプロジェクトのルートディレクトリに設置するのが一般的です。設定や使い方の詳細については、ServBay公式ドキュメントの.servbay.configファイル設定ガイドを参照してください。
コマンドラインから特定バージョンのNode.jsスクリプトを実行する
プロジェクト単位でNode.jsバージョンを設定するまでもなく、特定のバージョンを一時的に使ってスクリプトを実行したい場合は、ServBayのコマンドラインエイリアス機能が便利です。
ServBayのターミナル環境(ServBayアプリから起動可能)で、node-<バージョン>
形式のコマンドを使うだけで、簡単に特定バージョンのNode.jsでスクリプトを実行できます。ServBayはインストール済みNode.jsごとにこうしたエイリアスを自動で用意します。
たとえば、Node.js 14で script.js
を実行するには、以下のように入力します。
$ node-14 script.js
Hello World
Node.js Version: 14.17.0 # 実際のバージョン番号は異なる可能性があります
$ node-16 script.js
Hello World
Node.js Version: 16.3.0 # 実際のバージョン番号は異なる可能性があります
$ node-20 script.js
Hello World
Node.js Version: 20.10.0 # 実際のバージョン番号は異なる可能性があります
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サンプル実行解説
$ node-14 script.js
:ServBayでインストールされているNode.js 14系(14.x.x)のバージョンでscript.js
を実行$ node-16 script.js
:Node.js 16系でscript.js
を実行$ node-20 script.js
:Node.js 20系でscript.js
を実行
この方法により、グローバルなNode.jsバージョンを切り替えることなく、個別に異なるバージョンでの動作検証やタスク実行が柔軟に行えます。
ServBay管理画面でウェブサイトにデフォルトのNode.jsバージョンを設定する
ServBayでは、管理画面から各ウェブサイトごとに、デフォルトで使用するNode.jsバージョンを直接指定できます。これは、Node.jsをバックエンド(例:CaddyやNginxのリバースプロキシ配下で動作するNode.jsフレームワークアプリ)として利用するケースや、特定バージョンを要求するサイトにとても有効です。
設定手順
ServBay管理画面の起動: ServBayアプリケーションをスタートし、ブラウザで管理画面(通常
http://localhost:5200
またはServBayアプリからリンク)を開きます。ウェブサイト管理に移動: 管理画面の左側ナビゲーションバーから「ウェブサイト(Website)」をクリック。
対象ウェブサイトを選択して編集: サイト一覧から設定したいウェブサイト(例えば
/Applications/ServBay/www/servbay.demo
に作成したサイト)を探し、右側の編集ボタン(歯車や鉛筆アイコンの場合が多い)、もしくはサイト名をクリックして詳細画面へ。Node.jsバージョンを設定: サイト設定ページ内にあるNode.jsバージョン関連の項目(通常プルダウン形式)から、指定したいバージョンを選択。
変更の保存: 選択後、必ず画面下部の「保存」または「適用」ボタンで設定を保存します。
サイト(またはServBay全体)を再起動(必要な場合): 一部の変更反映にはWebサーバー(Caddy/Nginxなど)やServBay本体の再起動が必要になる場合があります。その際はServBayがガイドや通知を出しますので、それに従いましょう。
注意事項
- Node.jsバージョンがインストール・稼働中であることを確認:選択したNode.jsバージョンは、ServBay管理画面の「ソフトウェアパッケージ(Packages)」ページでインストールされ、起動している必要があります。未インストール・停止状態の場合は、「パッケージ」ページで操作してください。
- ウェブサイトのタイプ:この設定は、Node.jsをランタイムとして動作させるサイト(Express.js、Next.js、NestJS等のバックエンドアプリ)が主な対象です。静的サイトやPHP/Python/Goなど他言語バックエンド主体の場合は、影響しないか限定的です。
- 互換性テストを必ず実施:Node.jsバージョン変更後は、すべての依存サービス・機能が新バージョンで正常動作するか十分に検証してください。
.servbay.config
との兼ね合い:サイト単位の設定はデフォルトバージョンを指定しますが、同一ディレクトリに.servbay.config
が存在し、NODE_VERSION
が設定されている場合はプロジェクト設定が優先されます(細かいコントロールを可能にするため)。
まとめ
ServBayは、幅広く強力なNode.jsランタイム管理機能を備え、プロジェクトルートの .servbay.config
による精密な環境指定、コマンドライン上の node-<バージョン>
の簡単実行、管理画面からのサイト単位デフォルトバージョン設定など、多彩な利用方法をサポートします。これらの機能により、レガシープロジェクトの保守、新機能テスト、本番と開発の環境統一など、さまざまな利用シーンにおいてNode.js活用の柔軟性と生産性を大きく向上させることができます。ServBayを活用し、開発環境の効率的な管理とさらなる開発力アップを実現しましょう。