ServBayでPython Pipミラー加速を設定する
概要
Pythonプロジェクトの開発時、pip
で依存パッケージをインストールするのは一般的な作業です。しかし、ネットワーク環境によってはPython公式のパッケージインデックス(PyPI)への接続が遅かったり、タイムアウトする場合があります。地理的に近い、またはネットワーク最適化されたミラー源(Mirror)を使うことで、パッケージのダウンロードやインストール速度が大幅に向上します。
ServBayは、ローカルでWeb開発を行うための統合開発環境として、Python環境を含めた各種ソフトウェアパッケージの管理と設定を簡単に行うことができます。ServBayのコントロールパネルから、Python環境用のPipミラー源を手軽に変更でき、設定ファイルを直接編集する必要が無いため操作が非常に簡単です。
この記事では、ServBayコントロールパネルを利用してPythonのPipミラー源を設定し、より高速かつ安定した環境でPythonパッケージを取得する手順を解説します。
設定手順
ServBayは直感的なグラフィカルインターフェースでPython環境のPipミラー設定を管理できます。
設定画面へのアクセス
- ServBayコントロールパネルアプリを開きます。
- コントロールパネル左側のナビゲーションバーから
ソフトウェアパッケージ (Packages)
をクリックします。 - 展開されたパッケージリストから
Python
を選択します。 - 右のエリアにPython関連の設定オプションが表示されます。その中から
Pip Mirror
の設定セクションを探してクリックします。
(注:画面イメージはバージョンによって一部異なることがあります。実際のコントロールパネル画面をご確認ください)
利用可能なミラー源オプション
ServBayには、よく利用される複数のPyPIミラー源が標準で組み込まれており、任意に選択できます。これらのミラーは大学や研究機関、あるいはクラウドサービス事業者により運営されており、中国本土からのアクセスでは公式源より速い場合がほとんどです。
- PyPI(公式デフォルト源):
https://pypi.org/simple
- Python公式のパッケージインデックス、全公開パッケージを含みます。 - 清華大学(Tsinghua):
https://pypi.tuna.tsinghua.edu.cn/simple
– 清華大学オープンソースミラーサービスが提供。 - 中国科学技術大学(USTC):
https://pypi.mirrors.ustc.edu.cn/simple
– USTC(中国科技大学)のオープンソースミラー。 - アリババクラウド(Aliyun):
https://mirrors.aliyun.com/pypi/simple
– アリババクラウド提供のPyPIミラー。 - テンセントクラウド(Tencent Cloud):
https://mirrors.cloud.tencent.com/pypi/simple
– テンセントクラウド提供のPyPIミラー。 - ファーウェイクラウド(Huawei Cloud):
https://repo.huaweicloud.com/repository/pypi/simple
– ファーウェイクラウド提供のPyPIミラー。 - 南方科技大学(SUSTech):
https://mirrors.sustech.edu.cn/pypi/simple
– 南方科技大学によるPyPIミラー。 - 网易(NetEase):
https://mirrors.163.com/pypi/simple
– NetEase社によるPyPIミラー。 - カスタム(Custom): 任意のPyPIミラー源URLを自分で入力可能。
設定方法
Pip Mirror
設定セクションで、利用したいミラー源をラジオボタンから選択します。- リストに無いミラーを利用したい場合は
Custom
を選び、隣のテキストボックスに該当ミラー源の完全なURLを入力してください(URLの末尾は必ず/simple
で終わるようにします)。 - 選択・入力が完了したら、画面右下の
保存(Save)
ボタンをクリックして設定を保存します。 - ServBayのデフォルト(通常は公式PyPI源)に戻したい場合は
リセット(Reset)
ボタンで元に戻せます。
設定の確認
設定が保存できたら、下記の方法で新しいミラー源が適用されているか確認できます。
ServBay内蔵ターミナル、またはお好みのターミナルエミュレータを開きます。
下記コマンドを実行し、
pip
設定のglobal.index-url
の値を確認します:bashpip config get global.index-url
1設定が反映されていれば、ServBayコントロールパネルで指定したミラー源URLが表示されます。
さらに、例えば下記のようなよく使う小さなPythonパッケージをインストールして速度をテストすることもできます:
bashpip install requests
1ダウンロード速度やインストールプロセスに注目し、以前デフォルト源を使っていたときと比較して改善されているか確認してください。
注意事項
- グローバルな適用範囲: ServBayコントロールパネルでのPipミラー設定は、現在のServBay環境配下の全Pythonプロジェクト・仮想環境で共通に適用されます(ただし、仮想環境内で個別に設定した場合はそれが優先されます)。
- プライベートリポジトリ利用時: プライベートなPyPIリポジトリへアクセスする際には、一時的に公式源へ切り替えるか、
pip
コマンドで-i
オプションで個別指定、もしくはプロジェクト専用のpip.conf
で設定してください。 - 同期遅延について: ミラー源によりパッケージ同期間隔が異なる場合があります。そのため、ごく稀に新規公開されたパッケージがミラーに反映されていないことも。最新パッケージが見つからない場合は公式源へ切り替えるか、しばらく待つことで解消します。
- ネットワーク選択の推奨: 地理的に近く、回線が安定しているミラー源の利用を推奨します。中国国内利用の場合、清華・USTC・アリクラウド・テンセントクラウド・ファーウェイクラウド等が良好です。
まとめ
ServBayコントロールパネルからPython Pipミラーを設定するのは、非常に簡単かつ効率的な作業です。これによりPythonパッケージのインストール速度を大きく改善し、ローカル開発効率も向上します。ServBayの便利な機能を活用し、煩わしい設定やダウンロード待ちに煩わされることなく、開発に集中できる環境を構築しましょう。