ServBay Mailpit サービス設定ガイド
ServBayはMailpitパッケージを統合し、開発者がアプリケーションのメール送信機能をテスト・デバッグするための便利なローカルメールサーバーを提供します。本ドキュメントでは、ServBayでのMailpitパッケージのインストール・有効化・設定方法を、Common、SMTP、POP3、Relayの4つの主要タブごとに詳しく説明します。
Mailpit パッケージ概要
Mailpitはオープンソースのツールで、使いやすいローカルSMTP/POP3サーバーと直感的なWebインターフェースを提供します。アプリケーションから送信されたすべてのメールを捕捉し、一ヶ所でメール本文・ヘッダー・添付ファイルなどを確認することができ、実際の受信箱に転送する必要はありません。ユーザー登録やパスワードリセット、通知などメール送信機能を含む開発・デバッグ作業を大幅に効率化します。
ServBayではMailpitがコアパッケージとして統合されており、簡単にインストール・管理が可能です。また、ServBayの強力なPKIシステムによってSSL/TLSの自動証明書生成・設定が行われ、セキュアなテスト環境をすぐに構築できます。
Mailpit パッケージのインストールと有効化
Mailpitをローカルメールサーバーとして使用するには、まずServBay内でMailpitパッケージをインストールし、有効化する必要があります。
- ServBayアプリを起動します。
- 左側のナビゲーションバーで「パッケージ」を選択します。
- パッケージリストから「汎用サービス」カテゴリを見つけます。
- 「Mailpit」パッケージを探します。
- まだMailpitがインストールされていない場合は、右側の緑のインストールボタンをクリックします。
- インストールが完了したら、隣のスイッチボタンをクリックしてMailpitパッケージを有効化します。
ServBayの強力なPKIシステムによって、MailpitのWeb管理インターフェースやSMTP、POP3サービス向けの必要なSSL証明書が自動で発行・設定されます。つまり、煩雑な証明書申請や設定作業をせずとも、STARTTLSまたはSSL/TLS暗号化を直ちに利用できます。
Webメール管理インターフェース
Mailpitには、捕捉したメールの閲覧・管理が可能な高機能Webインターフェースが付属しています。ServBayが自動的に設定するため、Mailpitパッケージを有効にすれば、ブラウザから直接このインターフェースにアクセスできます。
アクセスURL: https://mail.servbay.host
このインターフェースでは、受信メール一覧の確認、個別メールの詳細閲覧(HTML・プレーンテキスト・ソースも含む)、メール検索、メール削除などが簡単に行えます。
Mailpit パッケージの設定
ServBayは、GUIを通じてMailpitの各種パラメータを直感的に設定できる管理画面を提供します。左側ナビゲーションの「Mail」を選択後、「Mailpit Service Config」をクリックして設定画面を開くと、Common、SMTP、POP3、Relayの4つのタブが表示されます。
1. Common タブ
CommonタブではMailpit全般の動作設定を行います:
- Max Messages: Mailpitサーバーが保存できる最大メール件数を設定します。この上限を超えると古いメールから自動的に削除されます。
- Max Age: メールのサーバー内保持期間(日単位)を設定します。設定日数を過ぎたメールは自動削除されます。
- SpamAssassin: SpamAssassinスパムフィルタ機能の有効/無効を設定します。有効にすると、受信メールに対してスパム判定が行われます。
- Webhook URL: 新しいメールを受信した際にHTTP POSTリクエストで通知するWebhookのURLを設定します。自動テストや通知システムとの連携に便利です。
- Webhook Limit: Webhook通知に含めるメール数の上限を設定します。
2. SMTP タブ
TIP
ServBayの強力なPKIシステムにより、SSL証明書は自動で生成・設定済みです。追加の証明書申請や設定なしで、STARTTLSやSSL/TLS暗号化接続をすぐに有効化できます。
SMTPタブではMailpitのSMTPサーバー設定を行います。アプリケーションはこのSMTPサーバー経由でテストメールを送信します。
- SMTP Port: Mailpit SMTPサーバーが待ち受けるポート番号を設定します。アプリケーションからは
127.0.0.1
またはlocalhost
のこのポートを「送信先」として指定します。デフォルトは1025
です。 - STARTTLS: STARTTLS暗号化を有効/無効に設定します。接続の確立後に暗号化通信へアップグレードします。
- SSL/TLS: SSL/TLS暗号通信の有効/無効を設定します。接続開始時点から暗号化を行います。
- Username: SMTPサーバーのユーザー名(任意)。設定した場合、メール送信時に認証が必要となります。
- Password: SMTPサーバーのパスワード(任意)。Usernameと組み合わせて認証に用います。
- Max Recipients: 1通のメールで許可する最大受信者数を設定し、過度な一斉送信を制限します。
- Allowed Recipients: 許可する受信者アドレスまたはドメインのリスト(任意)。未設定の場合はすべてのメールを受け付けます。設定時はリスト内宛先のみ受信します。
3. POP3 タブ
TIP
ServBayの強力なPKIシステムにより、SSL証明書は自動で生成・設定済みです。追加設定不要で、SSL/TLS暗号化接続を即座に利用可能です。
POP3タブではMailpitのPOP3サーバー設定を管理します。メール受信機能のテストが必要な場合、クライアントはこのサーバーに接続します。
- Enable POP3 Server: MailpitのPOP3サーバー機能を有効/無効に設定します。
- POP3 Server Port: Mailpit POP3サーバーのリスンポートを指定します。デフォルトは
1110
です。 - Username: POP3サーバーのユーザー名(任意)。設定時はクライアント接続時に認証が必要となります。
- Password: POP3サーバーのパスワード(任意)。Usernameとセットで利用します。
- SSL/TLS: SSL/TLS暗号通信の有効/無効を切り替えます。
4. Relay タブ
Relayタブでは、Mailpitが特定または全てのメールを外部SMTPサーバーへリレー(転送)する設定を行います。
- Enable SMTP Relay: SMTPリレー機能の有効/無効を設定します。
- Host: リレー先の外部SMTPサーバーアドレス(例:
smtp.gmail.com
、smtp.sendgrid.net
)を指定します。 - Port: リレー先SMTPサーバーのポート番号を設定します。デフォルトは
25
(標準SMTP)、465
(SMTPS)、587
(Submission)です。 - STARTTLS: リレー先SMTPサーバーとのSTARTTLS接続を有効/無効にします。
- Allow Insecure: 信頼されていない証明書のSMTPサーバーへの接続を許可します(本番環境での利用は非推奨)。
- Auth: リレー先サーバーへの認証方式を選択します。一般的には
Login
(ユーザー名・パスワード)、Plain
(Login類似)、CRAM-MD5
(チャレンジ/レスポンス認証)が利用可能です。 - Username: リレー先SMTPサーバー接続用ユーザー名を入力します。
- Password: リレー先SMTPサーバー接続用パスワードを設定します。
- Return Path: リレー時のエラー返送用アドレス(
Return-Path
ヘッダ)を設定します。 - Allowed Recipients: リレーを許可する受信者アドレスまたはドメインのリスト(任意)。
- Blocked Recipients: リレーを拒否する受信者アドレスまたはドメインのリスト(任意)。
- Relay All: チェックすると、Allowed/Blocked Recipientsで制限されない全てのメールをリレーします。
- Relay Matching: チェックすると、AllowedまたはBlocked Recipientsのルールに一致するメールのみリレーします。
設定の保存
Mailpit設定を変更した場合は、画面下部の「Save」ボタンを必ずクリックし、設定内容を保存してください。
「Reset」ボタンをクリックすると、全ての設定がMailpitのデフォルト値にリセットされます。
よくある質問 (FAQ)
- Q: アプリケーションから送信したメールがMailpitで確認できません。なぜですか?
- A: アプリケーションのメール送信(SMTP)の設定を、「ServBayでMailpitが稼働しているアドレス(通常は
127.0.0.1
またはlocalhost
)と、Mailpit設定で指定したSMTPポート(デフォルトは1025)」に正しく合わせているかご確認ください。また、ServBayでMailpitパッケージが起動中であるかどうかもあわせてご確認ください。パッケージリストでステータスを確認できます。
- A: アプリケーションのメール送信(SMTP)の設定を、「ServBayでMailpitが稼働しているアドレス(通常は
- Q: Mailpitに自分でSSL証明書を設定する必要がありますか?
- A: いいえ。ServBayの強力なPKIシステムにより、MailpitのWebインターフェース、SMTPおよびPOP3サービス(STARTTLS/SSL/TLS)向けの証明書は自動で生成&設定されます。該当タブで暗号化オプションを有効にするだけでご利用いただけます。
- Q: Mailpit Web管理画面のデフォルトユーザー名・パスワードは何ですか?
- A: デフォルトでは、
https://mail.servbay.host
でアクセスするMailpit Web管理画面にユーザー名やパスワードは必要ありません。またSMTP・POP3サービスもデフォルトで認証不要です。SMTPやPOP3で認証を必須としたい場合は、各タブでユーザー名・パスワードを設定してください。
- A: デフォルトでは、
まとめ
ServBayに統合されたMailpitパッケージを利用すれば、手軽にローカルメールテスト環境を構築可能です。MailpitのSMTP、POP3、Relayの各種設定と直感的なWebインターフェースにより、メール機能開発・検証作業を大幅に効率化できます。
設定変更後は、Mailpitパッケージの再起動が必要になる場合があります。ServBayのパッケージ管理画面でMailpitを選択し、「再起動」ボタンをクリックしてください。