Phalcon プロジェクトの作成と実行

Phalconとは？

Phalconは、高性能なPHPフレームワークで、C拡張として実装されており、非常に高速な実行性能を提供します。MVC（モデル-ビュー-コントローラー）アーキテクチャを採用しており、開発者に迅速かつ柔軟な開発体験を提供しつつ、高性能を維持します。

Phalconの主な特徴と利点

• 高性能：PhalconはC拡張として実装されているため、卓越したパフォーマンスを提供します。
• 豊富な機能：ORM、テンプレートエンジン、ルーティング、キャッシュ、キューなど、多様な開発要件に応じた機能を提供します。
• 低メモリ消費：独自の実装方式により、Phalconの実行時のメモリ消費は非常に低いです。
• 使いやすさ：シンプルで直感的なAPIと明確なドキュメントを提供し、開発者が迅速に習熟できるようにします。
• モジュール設計：必要に応じて異なるコンポーネントを選択して使用できる、非常に柔軟な設計です。

Phalconは、高性能なWebアプリケーションやAPIを構築するための理想的な選択肢であり、小規模なアプリケーションから大規模な企業級システムまで、さまざまなプロジェクトに適用できます。

ServBayを使用してPhalconプロジェクトを作成して実行する

この記事では、ServBayが提供するPHP環境を使用して、Phalconプロジェクトを作成し実行する手順を紹介します。ServBayの「ホスト」機能を使用してWebサーバーを設定し、簡単な設定でプロジェクトにアクセスできるようにします。

注意：NGINXまたはApacheユーザーの方へ

ServBayはデフォルトでCaddyをWebサーバーとして使用します。NGINXまたはApacheからServBayに移行する場合、いくつかの重要な変更点に注意が必要です：

1. Caddyの設定

   ServBayにはCaddyが組み込まれており、デフォルトの設定は最適化されてデバッグ済みです。開発者はServBayの「ホスト」機能を使ってサイトを管理するだけで、Caddyの設定ファイルを手動で変更する必要はありません。

2. Rewrite規則と.htaccess

   NGINXやApacheでは、通常、開発者がRewrite規則や.htaccessファイルを自分で作成してURLリダイレクトやその他の設定を行います。しかし、ServBayには出荷時にCaddyの規則が既に設定されているため、特別な必要がない限り、自分でこれらの規則を作成する必要はありません。

3. 詳細情報の参照

   さらに詳しい情報は、Rewriteとhtaccess、ApacheサイトのServBayへの移行方法、NGINXサイトのServBayへの移行方法をご覧ください。

注意：Phalconモジュールの有効化

ServBayにはPhalconモジュールが組み込まれており、ユーザーはまずこれを有効化し、PHPを再起動する必要があります。ServBay内蔵のPhalconモジュールの有効化方法をご参照ください。

異なるバージョンのPhalconとDevTools

使用するPHPのバージョンに応じて、異なるPhalcon DevToolsのバージョンをインストールする必要があります：

• PHP 5.6、7.0、7.1：Phalcon 3.4.5
  • 対応するPhalcon DevToolsバージョン：3.4.x
• PHP 7.2、7.3、7.4：Phalcon 4.1.2
  • 対応するPhalcon DevToolsバージョン：4.3.x
• PHP 8.0、8.1、8.2、8.3、8.4：Phalcon 5.7.0
  • 対応するPhalcon DevToolsバージョン：5.0.x（公式のDevToolsはPHP 8.xのサポートが弱いため、修正版の使用を推奨）

Phalconプロジェクトの作成

TIP

ServBayは開発者がWebサイトを/Applications/ServBay/wwwディレクトリに配置することを推奨しています。これにより管理が容易になります。

1. Composerのインストール

   ServBayにはComposerが事前にインストールされています、このため別途インストールの必要はありません。

2. プロジェクトディレクトリの作成

   プロジェクトディレクトリを作成し、進入します：

   cd /Applications/ServBay/www
   mkdir servbay-phalcon-app
   cd servbay-phalcon-app

3. Phalcon DevToolsのインストール

   使用するPHPバージョンに応じて、対応する Phalcon DevTools をインストールします：

   • PHP 5.6、7.0、7.1：

     composer require phalcon/devtools:"^3.4"

   • PHP 7.2、7.3、7.4：

     composer require phalcon/devtools:"~4.1"

   • PHP 8.0、8.1、8.2、8.3、8.4：

   composer.jsonファイルを作成し、以下の内容を入力

{
 "repositories": [
    {
       "url": "https://github.com/daleffe/phalcon-devtools-5.x-fixed.git",
       "type": "git"
    }
 ],
 "require": {
    "phalcon/devtools": "dev-master"
 },
 "minimum-stability": "dev",
 "prefer-stable": true
}

次に

composer update

4. Phalconプロジェクトの作成

   Phalcon DevTools を使用して新しい Phalcon プロジェクトを作成します：

   vendor/bin/phalcon project servbay-phalcon-app

5. プロジェクトディレクトリへの移動

   新しく作成されたPhalconプロジェクトディレクトリに移動します：

   cd servbay-phalcon-app

初期設定

1. 環境変数の設定

   app/config/config.phpファイルでデータベース接続情報とその他の環境変数を設定します。以下の設定が正しく行われていることを確認してください：

   return new \Phalcon\Config([
       'database' => [
           'adapter' => 'Mysql',
           'host' => '127.0.0.1',
           'username' => 'root',
           'password' => 'password',
           'dbname' => 'servbay_phalcon_app',
       ],
   ]);

Webサーバーの設定

ServBayの「ホスト」機能を使用して、PhalconプロジェクトにWebサーバー経由でアクセスするように設定します。ServBayの「ホスト」設定に新しいホストを追加します：

• 名前：My First Phalcon Dev Site
• ドメイン名：servbay-phalcon-test.local
• Webサイトの種類：PHP
• PHPバージョン：使用するPHPバージョンを選択
• Webサイトのルートディレクトリ：/Applications/ServBay/www/servbay-phalcon-app/servbay-phalcon-app/public

詳細な設定手順は最初のWebサイト追加をご覧ください。

サンプルコードの追加

app/config/routes.phpファイルに以下のコードを追加して、「Hello ServBay!」を出力します：

$router->add(
    '/',
    [
        'controller' => 'index',
        'action'     => 'index',
    ]
);

app/controllers/IndexController.phpファイルに以下のコードを追加します：

namespace App\Controllers;

use Phalcon\Mvc\Controller;

class IndexController extends Controller
{
    public function indexAction()
    {
        echo 'Hello ServBay!';
    }
}

Webサイトへのアクセス

ブラウザを開き、https://servbay-phalcon-test.localにアクセスすると、「Hello ServBay!」と表示されるページが表示されます。

NoSQLデータベースの例

Memcachedの例

1. Memcached拡張のインストール

   ServBayでは、Memcached拡張が既にプリインストールされているため、追加のインストールは不要です。

2. Memcachedの設定

   app/config/config.phpファイルにMemcached接続情報を追加します：

   return new \Phalcon\Config([
       'database' => [
           'adapter' => 'Mysql',
           'host' => '127.0.0.1',
           'username' => 'root',
           'password' => 'password',
           'dbname' => 'servbay_phalcon_app',
       ],
       'cache' => [
           'adapter' => 'Memcached',
           'host' => '127.0.0.1',
           'port' => 11211,
       ],
   ]);

3. ルーティングの設定

   app/config/routes.phpファイルに以下のコードを追加します：

   $router->add(
       '/memcached',
       [
           'controller' => 'index',
           'action'     => 'memcached',
       ]
   );

4. Memcachedの使用

   コントローラーでキャッシュを使用します：

   namespace App\Controllers;
   
   use Phalcon\Mvc\Controller;
   use Phalcon\Cache\Backend\Memcached;
   use Phalcon\Cache\Frontend\Data as FrontData;
   
   class IndexController extends Controller
   {
       public function memcachedAction()
       {
           $frontCache = new FrontData([
               'lifetime' => 86400
           ]);
   
           $cache = new Memcached($frontCache, [
               'host' => '127.0.0.1',
               'port' => 11211,
           ]);
   
           $cacheKey = 'my_cache_key';
           $cachedData = $cache->get($cacheKey);
   
           if ($cachedData === null) {
               $cachedData = 'Hello Memcached!';
               $cache->save($cacheKey, $cachedData);
           }
   
           echo $cachedData;
       }
   }

   ブラウザを開き、https://servbay-phalcon-test.local/memcachedにアクセスします

Redisの例

1. Redis拡張のインストール

   ServBayでは、Redis拡張が既にプリインストールされているため、追加のインストールは不要です。

2. Redisの設定

   app/config/config.phpファイルにRedis接続情報を追加します：

   return new \Phalcon\Config([
       'database' => [
           'adapter' => 'Mysql',
           'host' => '127.0.0.1',
           'username' => 'root',
           'password' => 'password',
           'dbname' => 'servbay_phalcon_app',
       ],
       'cache' => [
           'adapter' => 'Redis',
           'host' => '127.0.0.1',
           'port' => 6379,
       ],
   ]);

3. ルーティングの設定

   app/config/routes.phpファイルに以下のコードを追加します：

   $router->add(
       '/redis',
       [
           'controller' => 'index',
           'action'     => 'redis',
       ]
   );

4. Redisの使用

   コントローラーでキャッシュを使用します：

   namespace App\Controllers;
   
   use Phalcon\Mvc\Controller;
   use Phalcon\Cache\Backend\Redis;
   use Phalcon\Cache\Frontend\Data as FrontData;
   
   class IndexController extends Controller
   {
       public function redisAction()
       {
           $frontCache = new FrontData([
               'lifetime' => 86400
           ]);
   
           $cache = new Redis($frontCache, [
               'host' => '127.0.0.1',
               'port' => 6379,
           ]);
   
           $cacheKey = 'my_cache_key';
           $cachedData = $cache->get($cacheKey);
   
           if ($cachedData === null) {
               $cachedData = 'Hello Redis!';
               $cache->save($cacheKey, $cachedData);
           }
   
           echo $cachedData;
       }
   }

   ブラウザを開き、https://servbay-phalcon-test.local/redis