ServBayでウェブサイトやスクリプトのPHPバージョンを指定する方法
Web開発者として、異なるPHPバージョンを使う複数のプロジェクトを同時に扱う場合や、特定バージョンのPHPでコードの互換性テストをしたい場合も少なくありません。ServBayは強力なローカル開発環境ツールとして、PHPバージョンを柔軟に管理・切り替える方法を提供しています。本記事では、ServBayでプロジェクト・PHPスクリプト、そしてサイト全体のPHP実行環境を個別に指定する方法を詳しく解説します。
プロジェクトごとに特定のPHPバージョンを指定する
ServBayでは、プロジェクト単位でPHP実行環境を設定できます。プロジェクトのルートディレクトリに .servbay.config
というファイルを作ることで、そのプロジェクトで使用するPHPバージョンを指定できます。
特定のPHPバージョンを指定する場合の .servbay.config
ファイル内容例:
PHP_VERSION=8.0
注意: .servbay.config
ファイルはプロジェクトのルートディレクトリに配置してください。通常このディレクトリは、ServBayで「ウェブサイト」として設定した際に指定したフォルダを指します。例えば、ウェブサイトのルートが /Applications/ServBay/www/my-project
の場合、.servbay.config
ファイルは /Applications/ServBay/www/my-project/.servbay.config
に置いてください。
詳しい設定や使い方は、.servbay.config ファイルに関するServBay公式ドキュメントをご覧ください。
PHPスクリプトごとに特定バージョンのPHPを指定する
プロジェクトやサイト全体のPHPバージョンを固定したくない場合、または一時的に特定バージョンのPHPでスクリプトを実行したい場合は、ServBayのコマンドライン機能を利用できます。
ServBay統合コマンドライン環境では、php-<version>
コマンドを利用することで、実行時にPHPバージョンを個別指定してスクリプトを動かせます。これは、異なるPHPバージョンでの動作確認やテストに非常に便利です。
たとえば、PHP 5.6で version.php
というスクリプトを実行したい場合は、下記のようにコマンドを入力します:
$ php-5.6 version.php
Hello World
PHP Version: 5.6.40
$ php-7.3 version.php
Hello World
PHP Version: 7.3.33
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サンプルコマンドの解説
php-5.6 version.php
:ServBayにインストールされているPHP 5.6バージョンでversion.php
スクリプトを明示的に実行する場合のコマンドです。php-7.3 version.php
:ServBayにインストール済みのPHP 7.3バージョンで同じくversion.php
を実行する例です。
この方法を使えば、プロジェクトやサイト全体の設定を変えることなく、柔軟に異なるPHPバージョンでの互換性テスト・実行が可能です。
サイト単位で特定PHPバージョンを指定する
サイト全体、つまりServBayで設定した仮想ホスト単位で、特定のPHPバージョンに固定したい場合は、ServBayのグラフィカル管理画面から設定できます。
この方法は、常に特定のPHPバージョンで動かしたいサイト――たとえば、古いPHPが必要なプロジェクトや、最新PHP対応作業中のサイトに適しています。
設定手順
ServBay管理画面を開く:
ServBayアプリケーションを起動します。ウェブサイト設定へ移動:
ServBay画面左側のナビゲーションメニューから「ウェブサイト」オプションを選びます。対象ウェブサイトを選択:
サイト一覧から設定したいウェブサイトを探し、その行の右端にある「PHPバージョン」ドロップダウンボタンをクリックします。PHPバージョンを選び保存:
表示されたPHPバージョンプルダウンメニューから、使用したいバージョンを指定してください。選んだPHPバージョンがServBayにインストール・稼働中であることを確認し、その後画面上の保存ボタン(通常はリスト上部または下部に表示)をクリックします。
注意事項
- PHPバージョンのインストールと起動を確認:PHPバージョンを指定する前に、「ソフトウェアパッケージ」機能から該当バージョンがServBay上でインストール済みかつ「稼働中」であることをご確認ください。未インストールまたは未起動の場合は、所定の操作を行ってください。
- 互換性の確認テスト:PHPバージョン切り替え後は、必ずサイトへアクセスし、主要な機能の動作や互換性が保たれているか全体的にテストしてください。新バージョンPHPで動作しない部分がないかチェックしましょう。
- サイトのルートディレクトリ:ServBayでウェブサイトを設定する際は、サイトファイルを
/Applications/ServBay/www/
配下に保管し、各ウェブサイトごとにサブディレクトリを作成することを推奨します。例:/Applications/ServBay/www/servbay.demo
。本ドキュメントの例もこのパス規則を基準としています。
まとめ
ServBayは、PHP実行環境の管理・指定方法を柔軟かつ簡単に提供しています。具体的には:
- プロジェクトのルートディレクトリに
.servbay.config
ファイルを作成し、特定プロジェクトでPHPバージョンを固定 - コマンドラインツール
php-<version>
で、指定したPHPバージョンによる一時的なスクリプト実行 - ServBayの管理画面で、サイト全体に固定のPHP実行バージョンを設定
このような多層的なPHPバージョンコントロール機能により、ServBayは旧システムの保守、新機能開発、互換性テストなど、さまざまな開発ニーズに柔軟に対応できます。ローカル開発の効率や柔軟性が大きく向上します。