ServBay 環境での OctoberCMS のインストールと設定
概要
OctoberCMS は、強力な Laravel フレームワークに基づいたオープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)で、そのシンプルさ、柔軟性、開発者フレンドリーな特徴で人気を集めています。本ドキュメントでは、macOS 向けのオールインワン ローカル Web 開発環境である ServBay 上で、OctoberCMS を迅速にインストール・設定し、すぐに OctoberCMS ベースのプロジェクト開発を始める方法を解説します。
OctoberCMS とは?
OctoberCMS は、直感的な管理画面と強力なフロントエンド機能を備え、開発者が Eloquent ORM や Blade テンプレートエンジンなど、慣れ親しんだ Laravel の概念を活用して、多彩な Web サイト(シンプルなブログから高度なビジネスアプリまで)を構築できます。
前提条件
OctoberCMS のインストールを始める前に、次の条件を満たしている必要があります。
- macOS システムに ServBay がインストール済みで、稼働していること
- ServBay で PHP(7.4 以上推奨)および MySQL/MariaDB パッケージが有効かつ起動していること
- ServBay で Composer パッケージが有効になっていること
- 基本的なコマンドライン操作の知識
OctoberCMS インストール手順
以下は、ServBay 環境で OctoberCMS をインストールおよび設定するための詳細な手順です。
手順 1:プロジェクトディレクトリの作成
まず、ServBay 推奨のウェブサイトルート /Applications/ServBay/www
に移動し、OctoberCMS プロジェクト用の新しいディレクトリを作成します。
cd /Applications/ServBay/www
mkdir servbay-octobercms-app
cd servbay-octobercms-app
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手順 2:Composerを使用して OctoberCMS をインストール
ServBay には Composer が標準で組み込まれ設定されています。ServBay コントロールパネルで Composer パッケージが有効になっていることを確認しましょう。次に、作成したプロジェクトディレクトリで Composer コマンドを実行し、OctoberCMS のコアファイルをダウンロード・インストールします。
composer create-project october/october .
このコマンドにより、OctoberCMS の最新バージョンが公式リポジトリから現在のディレクトリ(.
)へインストールされます。
手順 3:データベースとユーザーの作成
OctoberCMS では、コンテンツ・ユーザー・設定情報を保存するためのデータベースが必要です。ServBay 標準の phpMyAdmin ツールを使ってデータベースおよびユーザーを作成しましょう。
ServBay 標準の phpMyAdmin へアクセス
ブラウザで ServBay のローカル開発パネル
https://servbay.host/
にアクセスしてください。phpMyAdmin へのリンク、通常はhttps://servbay.host/phpmyadmin/
に移動し、データベース管理ツールを開きます。データベースユーザーの作成
セキュリティと管理の観点から、アプリごとに専用データベース・ユーザーを用意することを推奨します。
ユーザーアカウントページへ移動
phpMyAdmin のトップメニュー「ユーザーアカウント」をクリックします。
新規ユーザーアカウントを追加
「ユーザーアカウントを追加」をクリックし、以下情報を入力します:
- ユーザー名:OctoberCMS の DB 接続用ユーザー名(例:
october_user
) - ホスト名:
localhost
もしくは127.0.0.1
を選択(ローカル接続のみ許可しセキュリティ向上) - パスワード:安全かつ一意なパスワードを設定(例の
password123
は本番環境で絶対に使わないでください) - 再入力:同じパスワードを再度入力
- 「データベースをユーザー名と同名で作成して全権限を与える」を選択します。これで自動的に
october_user
の名で DB が作成され、ユーザーに全権限が付与されます。 - 必要に応じ、グローバル特権の「全権限を与える」にもチェックが入っていることを確認(前述DB自動作成で自動的に付与されることがほとんどです)。
- 最下部の「実行」ボタンでユーザーとデータベースの作成を完了します。
- ユーザー名:OctoberCMS の DB 接続用ユーザー名(例:
手順 4:Web サーバーの設定(ServBay でサイトを追加)
ブラウザ経由で OctoberCMS アプリにアクセスするには、ServBay でローカルサイトを設定する必要があります。
新規ウェブサイトを追加する
ServBay コントロールパネルを開き、左側の「ウェブサイト」(旧バージョンでは「ホスト」)タブをクリックし、「ウェブサイトを追加」ボタンを押します。
以下内容を入力:
- 名前:わかりやすい名称(例:
My OctoberCMS Site
) - ドメイン:ローカルで利用したいドメイン(例:
servbay-octobercms.local
)。他と競合しない.local
ドメインの利用推奨。 - ウェブサイトの種類:
PHP
を選択 - PHP バージョン:OctoberCMS 対応バージョン・ServBay で有効なバージョンを選択
- ドキュメントルート:手順 1 で作成したプロジェクトディレクトリ
/Applications/ServBay/www/servbay-octobercms-app
を指定
- 名前:わかりやすい名称(例:
設定保存&ServBayの再起動
入力内容を保存します。ServBay は変更を適用するため、通常、必要なパッケージ(CaddyやNginx など)と ServBay 自体の再起動を求めてきます。案内に従い、変更を反映してください。ServBay は
servbay-octobercms.local
ドメインをローカル(127.0.0.1
)に自動で割り当てます。
手順 5:OctoberCMS の環境変数設定
OctoberCMS(Laravel ベース)はアプリの環境変数(DB 接続情報やアプリキー等)を .env
ファイルで管理します。
環境設定ファイルのサンプルをコピー
OctoberCMS プロジェクトルート(
/Applications/ServBay/www/servbay-octobercms-app
)で.env.example
を.env
にコピーします。bashcd /Applications/ServBay/www/servbay-octobercms-app cp .env.example .env
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2.env
ファイルを編集任意のテキストエディタで
.env
ファイルを開き、データベース項目を手順3で作成した内容に合わせて編集します。ini# ... 他の設定 ... DB_CONNECTION=mysql DB_HOST=127.0.0.1 DB_PORT=3306 DB_DATABASE=october_user # 作成したDB名に置き換え DB_USERNAME=october_user # 作成したDBユーザー名に置き換え DB_PASSWORD=password123 # 設定したDBパスワードに置き換え # ... 他の設定 ...
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10重要:
DB_DATABASE
,DB_USERNAME
,DB_PASSWORD
の各値を必ず実際に作成した内容に書き換えてください。
手順 6:OctoberCMS インストーラを実行
OctoberCMS には Web ベースのインストーラーがあり、DBマイグレーションや管理者アカウント作成をガイドします。
インストールページへアクセス
Webブラウザで手順4で設定したローカルドメインの
/install.php
へアクセスします。例:https://servbay-octobercms.local/install.php
OctoberCMS のインストールウィザードが表示されるはずです。
データベース情報の入力
ウィザードに従い DB 接続情報を入力してください(
.env
で設定した内容と同じである必要があります)- データベースタイプ:
MySQL
- データベースホスト:
localhost
または127.0.0.1
- データベース名:
october_user
- データベースユーザー名:
october_user
- データベースパスワード:
password123
(再度、実際に設定したパスワードを使いましょう)
- データベースタイプ:
管理者情報の入力
表示された指示に従い、OctoberCMS 管理画面へログイン用の管理者アカウント(ユーザー名、パスワード、メールアドレスなど)を作成します。
インストール完了
ウィザードページで「インストール」等のボタンをクリックすると、DBマイグレーションやアプリキー生成などが行われます。処理完了までお待ちください。
手順 7:プラグイン・テーマの導入(任意)
インストール後、OctoberCMS 管理画面(https://servbay-octobercms.local/backend
)へログインできます。
プラグインのインストール
管理画面から「システム」 → 「アップデート」 → 「プラグイン」へ進みます。OctoberCMS Marketplace から様々なプラグインを検索してインストール可能です。
テーマのインストール
「システム」→「アップデート」→「テーマ」からニーズに合ったテーマを選び導入できます。
インストール後の基本設定と操作
OctoberCMS のセットアップが済めば、ウェブサイト構築を開始できます。主な初期操作例:
- フロントサイト表示: ローカルドメイン
https://servbay-octobercms.local/
でサイトのフロントページ(標準テーマ)を確認 - 管理画面アクセス:
https://servbay-octobercms.local/backend
から管理者アカウントでログイン - ページ作成: 管理画面「CMS」→「ページ」より新規/編集
- コンテンツブロック: 管理画面「CMS」→「コンテンツ」から、再利用可能なパーツを管理
- テーマ設定: 「CMS」→「テーマ」より、テーマのカスタマイズ・レイアウト・パーシャル等を設定
- ユーザーと権限管理: 「システム」→「管理」から管理ユーザーと権限を管理
よくある質問(FAQ)
- Q:
servbay-octobercms.local
にアクセスすると ServBay のデフォルト画面やエラーが出る?- A: ServBay コントロールパネルで
servbay-octobercms.local
サイトが正しく追加されているか、ドキュメントルートが/Applications/ServBay/www/servbay-octobercms-app
になっているかご確認ください。構成変更後、ServBay が正しく再起動されていること、Caddy/NginxおよびPHPパッケージが起動中であることも確認しましょう。
- A: ServBay コントロールパネルで
- Q:
https://servbay-octobercms.local/install.php
へアクセスすると白い画面やエラー?- A: 多くは PHP エラーです。ServBay コントロールパネルのPHPエラーログを確認しましょう。よくある原因は:ファイル・ディレクトリの権限設定(
storage
、themes
、plugins
以下がサーバユーザーへ書き込み可か)、PHPのバージョン不一致・拡張モジュール不足などです。
- A: 多くは PHP エラーです。ServBay コントロールパネルのPHPエラーログを確認しましょう。よくある原因は:ファイル・ディレクトリの権限設定(
- Q:インストール時に DB 接続エラー?
- A:
.env
の DB 設定(DB_HOST
,DB_PORT
,DB_DATABASE
,DB_USERNAME
,DB_PASSWORD
)と、phpMyAdmin で作成したデータベース/ユーザーの情報が完全に一致しているか確認してください。ServBay で MySQL/MariaDB パッケージが起動しているかもチェックを。
- A:
- Q:
composer create-project
コマンドが失敗する?- A: ServBay で Composer パッケージが有効か、PHP パッケージが適切なバージョンで有効になっているか確認してください。ネットワーク環境にも依存するため、Composer の公式リソースへ接続できるかもあわせてチェックしましょう。
まとめ
ServBay の便利なローカル環境を活かすことで、macOS 上で OctoberCMS を簡単かつ迅速にインストール・設定することができます。本ガイドの手順を辿れば、次のウェブプロジェクトを構築するための高機能で開発者フレンドリーなローカル開発環境が手に入ります。さっそく OctoberCMS の豊富な可能性を体験し、素晴らしいウェブサイトを作りましょう!